夏色の贈り物
タイトル未編集

いつもの日常

「なあ怜、頼むよ!!」

「だから無理だって・・・」

「肝試しの場所にお前の家の寺か「しません」よ」

「二人ともその辺にしとけ。なあ怜、どうしても駄目なのか?」

「・・・無理」

俺の名前は時和怜(ときわ/れい)、寺の住職の孫。
でも別に、寺の孫だからといって陰陽師みたいに妖怪退治したりできるわけじゃない。

霊的なナニカを少し感じたり、カンが人より少しだけいいだけ。
つまりは、霊感が少しある程度。

そんな俺は今、同じクラスの友人である中川淳也(なかがわ/じゅんや)と如月昴(きさらぎ/すばる)に肝試しをしたいから、俺の家の寺を貸せとせがまれている。


あ、因みにこの少し騒がしいのが淳也で、冷静なのが昴。

淳也は人なつっこそうな雰囲気と、焦げ茶色の髪が特徴。

そんで昴は身長が高くて黒髪、眼鏡をかけているのが特徴で・・・悔しいがイケメンだ。

俺?俺はこの二人に比べるとかなり普通。少しだけウェーブのかかった髪と、二人はしていないピアスくらいしか特徴がない。

「なあ、何でそんなに嫌なんだよ!!夏だぞ夏!!夏といったら肝試しだろ!!」

「何が楽しくて、男三人で肝試しなんてしなくちゃいけないんだ」

「何がそんなに嫌なんだよ。その日はお前の祖父さん居ないんだろ?」

「いないけど・・・」



俺には祖父以外の家族が居ない。


俺が小さい頃に交通事故で亡くなったらしいが、俺は自分の両親の顔を全く覚えていない。

だから俺は今、母方の祖父の家である“竜縁寺”にお世話になっている。寂しいと思ったことはない。
祖父の家に引き取られるまでは、父方の親戚を転々としてきた。
正直嫌なことの方が多かった気がする・・・。
さっきも説明したが、俺には霊感がある。
小さい頃はもっと霊感が強くて、色々と怖い目にもあってきた。
幽霊なんて視るのは日常茶飯事だったし、妖怪やアヤカシの揉め事や頼み事に巻き込まれることもしばしば。
そう、その頃の俺はそういう類のモノに触れることも、会話することも出来た。だから、父方の親戚を転々としてきた頃、周りから見れば変な子供だったと思う。
周りから見れば、何もないところで独り言を言っていたり、変な行動をしていただろうから。
今思えば、多分そのことで俺は嫌われていたんじゃないかと思う。
厄介な子供が来ただけじゃなく、その子供が気味の悪い行動をするんだから、当たり前と言えば、当たり前かもしれない・・・。
まぁ今は、霊感も子供の頃に比べてだいぶ弱くなって、会話どころか、視ることさえ、ほとんどなくなったのだから気にしてはいない。
俺は今、祖父の家で友達も出来て楽しくやっているのだから。
「じゃあいいじゃんか~!!怜のビビリ~!!」
「いや、ビビリとかそういう問題ではなくてだな」
確かに二人の言うように貸せないわけじゃない。
むしろその日は家に誰も居ないから、普通ならもってこいなのだが、貸せない訳がある。寺にある“祠”だ。
実際に見たことはないし、どこにあるのかも教えてもらっては居ない。
寺の住職である祖父の話では、どうやら悪霊が封じられているという。

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