サワーチェリーパイ
「実は超有名人なんだな、お前ってば」
「そうでもないよ、今、携帯小説家なんてたくさん居るし。それに、映像化されてないから」
「バカ言え、才能あるって凄い事だぜ」
「でも、皆には言わないで欲しい。きっと大騒ぎになるから」


陽生にそう言われて、素直に首をタテに振ると、いつもの様に妄想未来予想図が頭の中に展開し始めた。


『2人だけのヒミツ
 ってヤツだよな、
 あー、俺こういうの
 最高だよ。
 だって2人だけだぜ、
 あ、今、陽生の部屋で
 2人っきり。って事は、
 例のアレも使うチャンス
 が来たってか? 
 大人の階段昇っちゃう
 よー、いよいよ』


「おい、現実世界に戻って来いよ」
「は? 」
「お前、本当に秘密を守る気はあるのか」


真剣な表情でたずねられ、正気を取り戻す。


「あるとも、大アリだ。あ、でも一個だけ守るためにお願いしたい」


またキスをされるのではないかと、思わず後ろに飛び退く陽生。
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