サワーチェリーパイ
確かに、華々しくデビューしても、続編が売れなくて困っている人も居るらしい。


サイトの担当者に、言われた事を思い出す。


『haruさん、デビューしても大変ですからね。現状の生活維持をちゃんとして下さい』


と。


そういう意味だったのかと、ようやく理解出来た。


15歳で世間知らずだった事を思い知らされる、そんなに現実は甘くない。


デビュー=どんどん書けば、売れる。


なんて、単純に思っていたのだ。


「東京に行くのは許す、でも、高校には入りなさい」
「編入もあるんだからね」


今更言われても、樹の居る私立御花台学院高等学校は偏差値が高くて難しいと聞いている。


携帯小説にかまけていた間、勉強は進んでおらず、これでは編入も難しいだろう。


だけど、樹に会うためならと新たな目標に向け、また必死に勉強を始めた。


そして、東京に1人出て来て、御花台の編入試験を受けたところ、国語の高得点により他教科の不足を補い、ギリギリラインで合格出来たのだ。


でも、あたしが起こした奇跡はそこまでだった……。
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