サワーチェリーパイ
その数分後、晴斗がサワーチェリーパイを無理やり口に押し込んだ瞬間、陽生が店に入って来た。


ブハッとパイを口から目の前の虹太に向けてふき出すと、目をこする。


「陽生ちゃん、こっちおいでよ」


虹太がそう言い、ボックス席につく陽生。


「昨日は悪かったな」
「あ、いいんだ。俺、気にしてないし」


女の子の様に健気に振舞う晴斗だが、陽生の表情は固いままだ。


「早瀬と駿府に言われてさ、あ、コーヒーお願いします」


三次や虹太が、御花台の2人にメールをしてくれていたのだ。


『女からメールが来ないって晴斗のバカが落ち込んでやがる、何とかしてくれ』


と。


そんな友情に対して、陽生がここに来たのだが……。


「あのさ、結論から言うけど、君はメールが下手だ」


ストレートパンチが、晴斗のみぞおちに入る。
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