星に願っても…。
カランカランカラン
店に着いたのは9時35分。
すごく頑張って自転車こいだけど…。疲れたけど…。
「やっば!」
ガチャンっバタンっ
「あぁもぉ!!」
カランカランカラン
「あぁすいません。まだ準備できてなくて。というか11時からなんですよね。あれ?closedってなってませんでした?」
散らかしたものを片づけながら一通り話し、振り向いた。
背の高い男の人が立っていた。正統派という感じですごく優しそうな雰囲気だ。
「あ、すいません。そうなんですね。また来ます」
その男の人はドアに手をかけ、帰ろうとしていた。
「まってください!」
わざわざこんな小さなカフェに来てくれたお客さんに申し訳なくて呼びとめてしまった。
「コーヒーくらいなら…。あ、トーストとサラダも一応できます!食べて行ってください」
「え?いいんですか?」
「はい!」
「でも…。11時からなんじゃ…。」
「ま、いつもはそうなんですけど…。今日は特別です!」
幸い昨日店を閉めてから掃除をしておいたから掃除の時間は省けた。
だからなんとか…。
「なんか申し訳ないなぁ」
「いえいえ。そんな…。あ、じゃぁどこか好きなところにどうぞ。すぐ作りますね」
数分後、できたコーヒーとトーストとサラダを窓際に座った男の人のところへ運ぶ。
「おまたせしました。」
「あ、ありがとうございます。わぁおいしそうですね!」
「ありがとうございます。でも…。すいません。これだけしかできなくて…。」
「そんな…。すごくおいしそうです。丁度軽いものが食べたいなと思っていたんです。」
「それなら、よかったです。では、ごゆっくり…。」
久々の新しいお客さん。
別に隠れ家的カフェを目指していたわけじゃないのに自然に隠れ家のようなカフェになっていたこのカフェ。
こんなところに来てくれるお客さんは大事にしないと…。
と、いつも思う。