星に願っても…。
『もしもし…。』
風呂から出ると丁度ケータイが鳴っていた。
こんな時間に誰だろうと思いながら電話に出る。
ケータイの向こうからは女の人の声がした。
「あ、はい。あの…。どちら様…。」
『あ、こんな時間にすみません!キラです!』
俺の言葉にかぶさるように少し焦った声がした。
「あ、どうしたの?てか、なんで俺のケータイ…。」
『あ、すみません。手帳の最後のページ見ちゃいました…。あっそれ以外なにも見てませんから安心してください。』
「あ、もしかしてそっちに忘れちゃった感じ?」
そういえば少し鞄が軽かったような…。
『そうですね。椅子の下におちてました。きっとこの間いらっしゃたとき鞄から落ちちゃたんですね。あの、どうしましょ。』
「え、あぁ…。」
鞄の中を探ってみる。
「あ…。」
『どうかしました?』
「うんう。なんでもないよ。」
いつも手帳を二つ持っている。ひとつはただのスケジュール帳でもう一つは大事なメモとか事件のことが書いてあるメモとか…。闇の掃除人のことだって書いてある。
「どうしようかな…。あのさ…。今大丈夫?」
あの手帳だけはどうしても見られてはいけない。
『んー。まぁ一応。』
「じゃ、今から取りに行っていい?」
『あ、はい。大丈夫です。お店で待ってます。』
こんな時間に店にいるのかな?
『キラぁ。シャンプーなくなった。今度買っとい…。あ、ごめん』
ケータイの向こうからは男の人の声が聞こえた
「今、どこにいるの?」
『家です。この間送っていただいたマンションです』
じゃぁ、今聞こえた声は大野トワ?
「あっ!じゃぁ俺がそっち行くよ。わざわざ店で待っててもらうの悪いし。ついたら連絡するね。」
『え、でも…。』
「いいの。そっち行く。じゃ。」
リナが返事をする前に電話を切った。
なんだか悔しかった。
まるで、子供が大事にしていたおもちゃを誰かに取られたような気持ち…。
あんなに大事にしてたのに…。俺にはもうリナしかいないのに…。
なんで、知らない奴に取られなきゃいけないんだ…。
「おかしい…。馬鹿だな…。こんなに独占欲強かったっけ…。」
もう忘れないと…。あのころの記憶を捨てて、変わらないと…。
「リナは今、いない。」
大野キラを逮捕する。それがリナを救うためなら…。
そのためにだったら過去だって捨てないと…。