星に願っても…。




涙がぽろりぽろりと落ちてきて、タクの顔を濡らした。





タクはもう…。死んでる。





「ほら。使いなよ。」




男の人はハンカチを私の前に差し出した。




私はそれを受け取らず、ただただ涙を流した。




「はぁ…。ほら、タク?くんだっけ。濡れちゃうよ?」





「しょうがないなぁ…。」





男の人は私の顔を覗き込み、私のあふれる涙を何度も何度もぬぐった。





どんどん意識は薄れていって、このまま死んじゃうのかもしれないな…。




その時、いろんな事思い出して…。




タクとユウに初めて会った日のこととか、ケンカした日のこととか…。


一緒に怒られたこと、泣いたこと、笑ったこと。




そうやって思いだしてるうちに、やっぱり私たち馬鹿だなって再確認して…。



呆れるほど馬鹿して、呆れるほどいつも一緒にいたけど…。





呆れるほど楽しかったなって…。





過去形になっているところはムカつくけど、仕方ないのかなって…。





やっぱり死ぬのかな…。





楽しかったな。



って…。



















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