コンプレックスな関係


その翌日から、俺は莉生に会うことはなくなった。


大学の友人共からは、とうとう振られたか!と笑われた。


違う、と言ったところで、俺の浮気癖を知ってる奴らが信じるはずもなかった。


その上、奴らは俺に莉生を紹介しろと言ってくる始末。


誰が紹介なんかしてやるかっつの。
欲しけりゃ自分でどうにかしろよ。


だいたい、別れた男に次の男を紹介されるとか、ないだろ。


いくら莉生でも怒るだろ。


それくらい分かれ。


憮然としてそう答えると、じゃ合コンやってくれ、と……。


もういい加減にしてくれ。


周りが騒ぐ中、俺は急激に女に対して興味を失っていった。


喉に刺さった小骨は、日増しにその存在感を強くしていった。


苛々することが増えた。


そして、今夜の事件。


いくら美和絡みだからって、俺自身、手を上げたことに驚いていたりする。


警察の世話になったことも。


本当は、美和と一緒に居る莉生を見て、動揺した。


また情けないところを見られた。


莉生から思わす顔を背けて、無視しようと思ったのに、できなくて。


口を突くのは憎まれ口にばかりだった。


まあ…それに関しては莉生の方が上手で、美和まで加わって、口論で俺に勝ち目なんかあるはずなかった。
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