オートフォーカス
待ちきれず催促の声がまた店先からかかり明るい返事をして仁美はまたスマートに店番に戻っていった。

仁美は常に綺麗をまとっている、そんなイメージを持った人物だなと篤希は再認識した。

「あいつ…黙ってりゃいい女なのにな。」

煙草を加えたまま気だるそうに雅之は呟く。

「仁美は今のままでも十分だよ。」

それは篤希の素直な感想だった。

純粋さにあてられた雅之は目を丸くするが、すぐに脱力するため息と共に目を細めた。

「そうですか。」

吐き出された声に優しさが含まれていることを篤希は知っている。



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