緋~隠された恋情
     


平の部屋から自室に戻ってから、

「はははっ……」

笑いが止まらなかった。


壊れていたんだ、

ずっと前から。


それくらいあの日の衝撃は大きかったんだ。


あの日------……

まだ高校生だったありさ。


声をあげて反応するありさに、

初めてではない事が分かった。


終わって放心状態の涙を浮かべたありさに、

『新に傷つけたくないなら、黙っているんだよ。』

と囁いている平の言葉を聞いたとき、

俺への裏切りを知った。


この時、俺の中の何かが壊れた。


復讐してやる。


一番、平のダメージを大きくする方法で。



時折部屋を抜け出して平の部屋へ向かうありさを

気がつきながら気づかないふりをして止めずにいる俺。


多分、ありさのことも許せなかったのだろう。


傷が深くなることを望まずにはいられなかった。


もっと傷つけ。

傷が大きければ大きいほどいい。

手に入れられないならいっそ壊れてしまえばいい。

そう願ってしまってもいた。

戻ってくればいい。

傷ついてボロボロになればいい。

俺しか頼れなくなればいい。

受け止めてやる。


どんなありさでも愛せる自信があるのだから。


世界中のだれよりも

お前を愛してるんだから。









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