緋~隠された恋情
そうか、

ついに二人も一緒になるんだ。


心から良かった、

そう思える。


「鮎川さん。おめでとうございます。」


「ふふ、ありがとうございます。

 でも、

 いろいろ大変なのよ?

 山根さんが私の後釜になってもらうんだけど、

 人員は補充されないから、

 ここの部、手薄になっちゃうの。」


「そうなんですか。」


「実は、仲野さんに来てもらいたいって

 社長に交渉したんだけど、

 今回の企画からはずれてもらうわけにはいかないって、

 突っぱねられちゃった。」

「え……」

「知らないとこでそんなことされてたなんて

 不本意でしょう?

 ごめんなさい。

 でも、仲野さんて、

 自分が思ってるよりずっと、

 頼りにされてるし、みんな期待してるのよ?


 辞めたりしないでね?」


「……あ、はい。」

一瞬、俺の心を見透かされてるんじゃないかって、

ぎくりとした。







 

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