緋~隠された恋情
頭の中は真っ白だった

「どうした?」

電話を切ってから、

その場に立ち尽くしている私に、

お兄ちゃんが朝食を用意しながら、

肩を叩いた。




「うん。」


「なんか、顔色が悪いぞ?」


「お兄ちゃんどうしよう徹平が、

 徹平が…」



「八代君?どうかしたの?」


「徹平がいなくなったって…」




「いなくなったってどういうこと?」


「一週間前から消息不明だって

 会社にも、部屋にも戻ってないって、


 どうしたら、いいと思う?

 私、

 気づいてあげられなかった」



「離れてるんだから無理だろ?」


「電話で話したの、

 電話かかってきたのに、


 会うはずだったのに、キャンセルで、
 
 もっと、理由を聞いてあげたらよかったのに

 どうしよう


 どうしよう

私 もし徹平に何かあったら

  ……

 どうしようお兄ちゃん」




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