緋~隠された恋情
「植木先生。」


帰り際の駐車場で美術の小出先生が声をかけてきた。


「どうしましたか、小出先生。」


「っ校長とは、な何を…おお話になったんですか?」


「珍しいですね、そんなこと気にするなんて。

 なぜ?」


「し知り合いが、その、教頭の娘なんですが、

 ら来週からこの学校に来ると聞いて、

 か彼女理科だから…

 ま、まさか、仲野先生は……」



ふ~んそういうことか。

やけに用意周到だと思ったら、そういう絡繰ね


「そう、ご想像の通りですね。

 しかも、彼女に伝える役目は、俺の仕事らしいですよ。」


「何故?」

小出の顔が一瞬にして曇った。


「彼女の住む商店街に下宿するせいですかね。」


「植木先生は、その、仲野先生とは…」


この男、芸術家だかなんだかしらんが、

今までほとんど女に免疫がなかったような生活をしていたくせに、

最近やけに、ありさにつきまとって気に入らない




「付き合ってるわけじゃあないですよ。」


「そうですか。」

安堵の表情を見せるやつに、

俺は大きな爆弾を落とす。


「まあ、身体の関係があるかって聞かれたら

 ないとは言いませんがね。」


「かっ…」


「ああ、すみませんね、おたくな小出先生には

 リアルな話はちょっと刺激が強すぎましたか?

 くすっ

 知ってますよ。

 あなたが誰を好きなのか。」


「な、なにをっ」

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