鬼畜店長


―――

そしてやっと《close》を出すことが許された1月1日午前1時。



「店長、一応言っときますね。あけましておめでとうございます。」


「今年もよろしくしたいとは思えねぇな。」


「ひどい!」


「は?お前今更気づいたわけ?」


「いや、初めからわかっていましたとも。」


「だろ?あ、そーだ。お前なんか飲む?」


「え!飲んでいいんすか?!」


「まぁ新年だしな。仕方ないからお前の給料から引いといてやるよ。」


「ひどい!」


「お前まだそのくだりやるわけ?」


「いや、やりませんけど!それにしてもひどくないっすか?!」


「全く…しゃねぇ、俺の奢りで飲ませてやるよ。」


「店長マジ神!大好き!今年もよろしくお願いするからよろしく!」


「…はいはい。よろしくしてやるから従順に働けよお前。」


「それは固くお断りしたい。」


「拒否権はねぇ。とりあえず、年始めの業務からシフト足しといたから。」


「え、あたし成人式…」


「ぎりぎりまで帰んねぇって言ってたの誰だっけかなー?」


「……職権乱用だー!!」


「うるせぇ。飲まねぇならもう帰れ。」


「嘘ごめん飲むからまだ片付けないでー!!」



―――

そして翌朝。というか昼。



「店長。なんであたし二日酔いの中掃除してんすかね。」


「それはお前、昨日のバカな客どもが思ったより店を荒らして帰ったからに決まってんだろ。」


「店長がやれば…」


「おい従順に働くと約束したのは誰だ。」


「約束なんていつしたコノヤロウ!」


「口約束は有効なんだぞ。バカヤロウ。」





やっぱ今年もあんまりよろしくして欲しくないなぁと思えるくらいの鬼畜店長でした。 




END


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