鬼畜店長


「遅いぞ馬面さん」


「店長がなかなか離してくれなくって☆」


「そういえば、お前馬面かぶった状態でこの店入ってきたのに、よく店長さんお前だってわかったよな」


「確かにー完全に顔見えないのにね」



ゾンビ君と猫耳さんにそんなことを言われて確かにそうだと納得。


入ってきてすぐに店長は馬面のあたしに話しかけた。

イケメントナカイのこともわかってなかったのに。



「背格好とか私服の感じでじゃない?この服着てきたことあるし」


「あーなるほどな。いやでもそれにしても愛されてんなーお前」


「は、おま…」



「ん?愛?されてないよ?むしろいっつも貶されてるよあの鬼畜さんには」


「そうなの?その割にべたべたしてたような…」


「へいへいゾンビ君!飲み物もそろったことだし、乾杯と行こうぜい!」



なんだか不自然に会話を強制終了させたイケメントナカイ。

そういやさっきなんか言いかけてた気がしたけど、なんだったんだろう?



「それもそうだな!じゃあ、えー、今日も一日お疲れ様でした!かんぱーい!」



ゾンビ君の乾杯の音頭に合わせてみんなでグラスを鳴らす。



その中に微妙な顔のイケメントナカイさんと、かぶり直した馬面の中で不思議そうな顔をする馬面さんがいたが、みなさん気づく様子はなく楽しげに談笑が始まったんだとか。




「あ、馬面取んないと飲めないやん」




END





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