鬼畜店長

「店長」


「なんだよ?」


「大好きです!」


「はいはい」


「投げやり!店長、信じてないですね!」


「ちげーよ。お前のダイスキは聞き飽きた。」


「じゃあなんて言えばいいんですか」


「なにも言わなくていーよ。俺が言うから」


「んん?」


「好きだよ。大好き」











「………ぐはぁ!」


めったに見れない笑顔にそんな甘ったるいセリフなんて、毒でしかない。

猛毒だ。



「なんだようるせーな。もっと可愛い反応してみろよ」


「きゃぴ☆」


「死ね」


「ひどい!想像以上に!」


「今のは殺意を覚えるレベルだった」


「たった三文字で殺意を抱かせるあたしすげぇ」


「もうお前の防弾ガラスハートなんとなかんないの?どうしたら泣く?」


「店長あたしのこと泣かそうと思ってたんすか。マジすか。こわ」


「軽く引いてんじゃねぇよ。」




いやだって怖いっすよそれって。


あ、そういえばだいぶ前にそんな感じの鬼畜講義を受けた気がするな。


『いつもへらへらしてる奴を泣かすからおもしれーンじゃねーか』みたいな。

へらへらしてるやつってあたしのことか!!




「店長はもう揺るぎなく鬼畜ってことですね。わかります」


「今更なこと言うなよ。そんな俺が好きなくせに」


「それさっきあたしが言いましたよね。店長ウザいって言いましたよね」


「俺はいいんだよ。お前はダメだ。ウザいから」


「ひどい!横暴!」


「でもそんな俺が好きなんだろ?」


「……好きです」


「その反応なら合格」




そして結局髪をぐしゃぐしゃにされたあたし。


顔が緩むのは表情筋がその役目を放棄したからであって、決してあたしの意志じゃないですから!



< 181 / 244 >

この作品をシェア

pagetop