鬼畜店長

いつもと同じように片付けを済ませ、店長とお揃いの店のエプロンを外して着替えも完了させる。


バイトの時とは少し違うエプロンのデザインは、今でも見るたびに嬉しくなってしまう。


だって特別って感じゃん?



「店長!完了でっす!」


「いつもより3分遅い。」


「とか言って待っててくれる店長ったらツンデレさん。」



「よーし、採用の時の書類はシュレッダーにかけていいよな。」



「ごめんなさいごめんなさい!本当にここ以外で就職する先とかないのでそれだけはどうか!」



「本気にすんなよ。冗談冗談☆」



「目が本気と言ってましたから!ばれてますから!」



小さく舌打ちが聞こえましたけど!

いい大人が舌打ちとかしたらいけません!



「帰るか。」

「帰りましょう!」



こうやって並んで帰るのもいつものこと。


前とは違う、2人で住める少し大きめの部屋へと帰る。



「で、何を犬みたいに喚いてたんだ?」


「喚いてなんかないですよ!失礼しちゃうわ!」


「俺にはわんわんとしか聞こえなかった。」



ついに幻聴まで聞こえるようになったらしいな。

あたしは日本語しか喋ってないぞ。



「店長、大変なんです。明日が父の日だということをすっかり忘れていました!」


「あぁ、そういえばそんな時期か。俺も忘れてたわ。」


「どうしましょう!」


「どうって?忘れてたって言えば別にいいんじゃねーの。」



「よくない!全然よろしくないですよ!
母の日父の日敬老の日はあたしの中で特別な日トップ3なんですよ!」




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