鬼畜店長

―――

「男なんていんねーっすよ。

あたしがいくら好きだって?相手には彼女居るし?今日も2人でラブラブするって言ってたし?

……あたしは、音痴なんじゃなくて音を取るのが苦手なだけだー!!」



飲み始めて数十分。


話題は他愛のない無駄話から、クリスマスに独り身でいる愚痴合戦に移って行った。



「俺がいったいなにをしたって言うんだ?!あんなに優しく、丁寧に、気ぃ使って、大事に、付き合ってたのにー!!

別れるときなんて言われたと思う?!
もうつまんない、だってさー!!

べっつに俺芸人目指してるわけじゃねーし?つまんなくたって人間生きていけんだよバカヤロー!!」



店長の愚痴には憎しみや恨みつらみが込められている気がするが、それも今日は無礼講だ。



無礼講の使い方が違うと言われても直す気はない!

だって正しい使い方を知らないから直せないもん!


…ただ言いたいだけだろとか言われようとへこたれない!


だってだって、今日は無礼講だろ!



「もっと言ったれ店長ー!」


「元はと言えばあいつが誘ってきたんだよ!最初は俺が合わせてたんだよ!

なのになんで俺こんなにあいつのこと引きずってんだよこのヤロー!」



「店長!もう飲んで忘れましょう!!
あたしもあんな奴のことは忘れます!」


「そうだな!!よし!飲むぞー!!」




…無限ループ…



「俺がなにしたって言うんだーー!」


「店長それさっきも聞いた!」


「うるせぇ!お前も忘れるんだろ?!
もっと飲みやがれ!!」


「あい!いただきまっす!!」



…無限ループ無限ループ…













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