愛を知る日まで



―――今月の特集は、数多の福祉施設で責任者として働かれた経験を活かし、昨年新しく社会福祉法人『ヒイラギ学園』を設立した代表の柏原柊さん(45歳)にお話を窺いました。



―――柏原さんは現在、児童養護施設の代表者をされている他、支援団体などにも加入され全国の児童養護施設のアドバイザーも行っていますね。


『はい。要望があれば全国北から南までどこでも飛んで行きますよ』


―――柏原さんの子供に対する的確なアドバイスを求める養護施設が後を絶たないとか。


『それだけ子供と真剣に向き合おうとしてる職員が多いと云うことだと思うので喜ばしいですよね』


―――アドバイザーとしてとても定評のある柏原さんですが、やはり御自身の経験から得られたものでしょうか。


『そうですね。講演会なんかでもいつも話してるんですが、私自身、施設で虐待を受けて育った天涯孤独児でしたから。まずはそこの目線からお話しするようにしています』


―――御自身の経験も踏まえて、そういった環境の子供と接する時に一番心掛けるべき事は何でしょう。


『何はなくとも受け留めてあげて下さい。荒れていようが心を閉じていようが無条件に。生きてていいんだよ、否定しないよって。それだけいいんです』


―――とても簡潔かつ深い事ですね。


『たった一人でもいいから自分を丸ごと抱きしめてくれる人がいるだけで、それは大きな勇気になるんです。環境によって付加された性格や行動を見る前に、まずはその子の魂を抱きしめてあげて下さい。産まれて生きてきた事を愛してあげて下さい』





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