愛を知る日まで






「…私と…友達に、ならない…?」



聞いた瞬間、背筋が凍った。


真陽がどうして俺に優しかったか、突き付けられたからだ。




友達がいなくて淋しくないかと尋ねた真陽に俺は「そんなの欲しくない」と正直に答えた。



--でも、あんたの事は欲しいよ。



その一言を付け加えようとした刹那だった。


俺の想いを断ち切るように、その言葉は発された。



…そっか。真陽は俺を淋しい奴だと思ってたのか。


だから、同情して仲良くしてくれたってワケか。


可哀想な俺のお友達になってあげようと。





「…ふざけんな!」





俺は椅子から勢いよく立ち上がると、そのままスタッフルームを飛び出した。


足早に廊下を歩き、誰もいないロッカールームへ飛び込む。


「…っきしょう!ちきしょう!!」


真陽を、恨んだ。

慈しみの仮面で俺を残酷に突き放した女を。


自分を、恥じた。

間違ってる人間のクセに幸せの舞台に立とうと傲った自分を。





『お前を助ける大人なんざいない』


幼い頃に刻み込まれた呪いの言葉が蘇る。


今も。誰も。たった一人、好きになった女でさえも。


俺を受け入れては、くれないんだ ---








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