愛を知る日まで




伊達に赤ん坊の頃から殴られ続けてるワケじゃねえ。


暴力に対するメンエキは人一倍ってもんだ。


殴られる事を恐れずに突っ込んでいく俺の姿は喧嘩を売ってきた馬鹿共をビビらせた。


おまけにガキのパンチなんざ施設長の木刀に比べたら屁にも感じねえ。



この地獄へ来て日が浅いくせに年上ってだけで威張り散らす馬鹿に、俺は目にものを見せてやった。


確か5歳の時にはもう年上を泣かせてたと思う。


小1の時に高学年のグループにボコられた時にはさすがに負けたけど、小2の時には6年生二人を返り討ちにしてやった。


4年生になった時、中学生のグループと闘ってリーダー格のヤツの首筋に噛み付いて大流血させた。


さすがに大騒ぎになり施設長に折檻されたけど、それ以来俺に喧嘩を売ってくるヤツはいなくなった。



そしてこれだけの強さを誇る俺には、へつらう子分もグループも出来なかった。


その狂的な闘う姿が恐れられたのと

施設長に目を付けられてる俺に付くことは何のメリットも無かったからだ。



グループにも属さず、虐げる者にも虐げられる者にもならず、気が付くと俺は独りだった。


ただ、恐れられ、疎まれる存在。




--だからどうした。




そんな事で痛める心なんてとっくの昔にどっかに捨てた。


天涯孤独の身で今更孤独に嘆くような繊細な心なんざこの頃の俺にはもう無かった。






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