Christmas since


ベッドが揺れ、ごそごそと体を動かしながら、聖がうめく声が聞こえた。


いつもながら、色気のない声。


「聖ぃ、水ぅ~」


 ――二日酔いかよ。


 二十歳の記念にと赤ワインと洒落込んだけど、どこがうまいのか、さっぱりわからなかった。


缶チューハイにしときゃよかった。


あっちならそこそこ飲めるから。


だけど、こんな高級ホテルに、缶チューハイはどう考えても似合わない。


「聖、寝てんの?」


 ――起きてるよ。


室内は暖房を効かせているものの、何も掛けないででベッドにひっくり返っていると、服を着ていてもやっぱり寒い。


しかし、すっかり“起きるタイミング”を逃してしまった。


「聖?」


鼻先にふわりと息がかかり、俺はどきりとした。


鼻をつままれるか、デコピンか。


見なくてもわかる。


両手で頬を包むようにしてベッドに頬杖をつき、俺を見てる。


何かしてやろうって顔をして、


得意気に唇の端をあげて――。


と、突然、柔らかな感触が唇を押し包み、俺は驚いた。


 ――こ、これは……。


頬にかかる髪の毛の感触と甘い香り。


ちょっと、くすぐったい。


いや、それより、これは――。
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