青いブレスレット
………は?


なんで?


今、なにが起きた?



「…ちょっとよく分かんないんだけど」

「お前のことが好きなんだよ」



……………はあ?


こいつ、何言ってるの?



「私の顔好きじゃないんでしょ」

「ガード固かったから負け惜しみでつい言っちゃっただけだよ。ごめん」

「ヤりたいなら別の子当たれば?」

「ヤれなくたって、元に戻れるならそれでいい」


あ〜も〜〜〜!!!



「なに都合いいこと言ってんの!?あのときわたしがどんだけ傷ついたと思ってん…」


そう言いかけたとき、ぐいっと引き寄せられた。


まだ人通りの多い街中、気づけば中谷の腕の中に収まっている。



「!?ちょっと!放してっ…」

「放したくない」


えっ…!?


そう言われて、わたしは抵抗できなくなった。



「お前と別れてから、毎日何か物足りなかった。しばらくなんでか分からなかったけど、お前があいつとデートしてるの見た時に分かった。お前と別れたからだって」


そんなことあるわけない。

だって、あんなひどい振り方したじゃない。

だって…



「あいつは俺のこと嫌いって言うなら、俺だってあいつのこと嫌いだよ。あいつとお前が一緒にいるとこ見るとイライラする」


…なんで?


なんで今更そんなこと言うの?


なんで…?



「わがままなこと言ってるのは分かってる。でも本気なんだよ。頼む、俺と付き合ってくれ」



頭がパンクしそう。

なんで今になってそんなこと言うの?



「紗奈、好きだ」



それはあのころのわたしが、死ぬほど聞きたかった言葉。


なんで、なんで今なの………?
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