青いブレスレット
それでも、みんなは納得しないようだった。



理香ちゃんが言いかけた、その時だった。

「紗奈!もう一回よく考えてみてよ!だってー」


「もういいよ、松浦さん」



………え?


この声は………?



振り向くと、ドアが開いている。



そこには………



水原くんと西野くんが立っていた。



「………えっ………?」


わたしは状況が理解できなかった。

なんで水原くんがここにいるの…?



震えが止まらない。


言葉も出てこない。



「昨日、街であいつと手え繋いで歩いてるの見たからそうかなって思ったけど、本当にそうだったんだ。よかったね、元に戻れて」


そう言う水原くんは、口元だけ笑っている。



どうして、昨日のこと知ってるの…?



「水原くん、落ち着いて。もっとちゃんと話し…」

「これ以上何を話すんだよ」


理香ちゃんの言葉を、水原くんが遮る。



「あの時は言い過ぎた、俺の被害妄想だって思ったけど、24日一緒に過ごすほどだったんだ。だから、もう無理だよ」



…なにそれ。

自分だって女の子たちとクリスマス会したんじゃない。


わたしはすっと立ち上がって、水原くんの方へと歩く。


そして、立ち止まると、水原くんの右頬を思いっきり叩いた。



「紗奈!?」


みんなから一瞬悲鳴が上がる。

でも、すぐに静まり返った。


水原くんは無表情でこっちを見ている。


「自分だってクラスの子たちと過ごしたくせに、よくそんなこと言えるね!中谷はわたしのことなぐさめてくれたんだよ!?わたしだって本当はーーー」


そう言って、一瞬間が空く。

ほおに冷たい感覚。


ああ、わたし、また泣いてる。



「水原くんと一緒に過ごしたかったよ」



そう言って、わたしは部屋を飛び出した。


みんなが呼ぶ声が聞こえるけど、無視して、靴を履いて玄関を出る。



このあとどうするかなんてなにも考えずに、とりあえずあの場から離れたかった。
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