青いブレスレット
相手のペアは、至って普通の女の子二人。


でも、わたしよりは上手そう。




練習のときはほとんど失敗ばっかりだった。


やばい、緊張してきた……。



足が震える。



「紗奈ちゃん、大丈夫?」

千夏ちゃんが心配そうに声をかけてくれる。

「う、うん、大丈夫…」


震える手でラケットを握る。


するとーーー………。



「雪川さん!」



久しぶりに聞く、わたしを呼ぶ声。



声の方を向くと……


水原くん。



「頑張れ!」


水原くんはそう言って、ニコッと笑った。




…うそ。


水原くんがわたしを見て、笑ってる?



こんなの、いつ以来だろう…。




「Dクラスの水原くん!いませんか!?」

「あ、はーい」


水原くんはDコートの審判に呼ばれて、走っていった。



水原くんに頑張れって言われただけで、涙が出そう。



「…よし!」


絶対勝ってやると決めた。
< 332 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop