ビター アンド スノウ



慌てて口元からコートを外し、ポケットから手をとりだす。



………寒い。


誰も、私の髪についた雪を払ってはくれない。
私の憎まれ口に笑いかけてくれたあの優しい目尻は、もうない。



……心が、寒い。



「…バカ。」



髪に積もった雪が、私の前髪からスルリと滑り落ちて。

寒くなってきた口元をコートで覆い、かじかんだ手をポケットに入れようとして、…それに気づいて止めた私は。



胸が今にも張り裂けそうで、心が今にも潰れてしまいそうで、どうしようもなく、泣いてしまいそう。



「……シュンちゃんなんか、キライ。」



口元をコートで覆う癖も、ポケットに手を突っ込む癖も、目尻で微笑む笑顔も。


シュンちゃんは、同じ姿をまた違う誰かに見せるの?
また違う誰かの、ものになるの?



私がシュンちゃんを愛していたように

髪が触れられたら心臓が爆発してしまうんじゃないかってくらい、
背中を見るだけで、ぎゅぅっとそれを抱きしめたくなってしまうくらい、



同じように、他の誰かを愛するの?




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