Come Back Anytime
 本日使うはずの教科書をすべて忘れ、途方に暮れていた潤であったが、時は無情にも過ぎ、一時限目開始のチャイムが鳴る。
 そして一気に現実へ引き戻された。

(さて、どうするか……間違っても未由なんかに、「教科書を見せてください」なんて頼みたくねぇ)

(こうなったらやり過ごすしかない。幸い今回は席も後ろの方だし、俺の手元なんて見えないだろうから、教科書なんか無くたってバレはしない)

 数分後。

 その考えが甘かったことに気づく。
 不幸にも一時限目は国語で、しかもこの日の朗読は、潤の座る列が担当だった。

(なんでだよ! 意味わかんねぇ……)
< 5 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop