president command
サイド あげは



「アゲハがどんな奴かわからなかった」


「……」


わからない?



「……不服そうな顔するなよ」



カチッとライターに火がともる


「意味わからないよ、それに納得いかない」




あたしの何がわからないの?



何だって教えてあげるよ




煙が新くんの口からはきだされる



「……お前、オレにも本当の自分見せなかったじゃん」



「……見せてた、これがあたし。他のお客さんの前と違ったでしょ?」





そう


新くんは特別なんだもん






「それは俺がアゲハの中でビップの位置にいたからだろ。」




…………





「そんなこと……」

「あるよ」



「だからあたしはダメなの?」



「あぁ。」



「…………あの子は」


「ひよ、の事?」


「あの子、新くん好きだった」




「……らしいな。」


目線が下へうつった



「………新くん、あの子きにかけてるね」


「かけてない。あいつにもさっき同じこと伝えてきたところだ」



違う


違う




「新くんわかってない」


「とにかく、アゲハ、俺とお前は客とキャバ嬢だ」



勝手に決めるな


「………私あきらめてないから」


「…」



「新くんのお嫁さんになるのはあたし」


「………じゃあな」






タバコの匂いだけ残して


新くんは出ていった




「なによ……っ」



涙は出ない


でも悔しい




村瀬ひよ

………あの子には負けない


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