天神楽の鳴き声
身体を震わせ、泣く彼女を抱き寄せ、いつかのあの頃の母と同じように、抱きしめた。
愛しい、とおもった。ただ、この抱きしめている温もりを手放したくなかった。

そんな彼女が朱巫女になった時、
側にいられる時間の秒読みが始まったのだ。


父の言葉は呪いの様に巡った。

『朱巫女を愛してしまえば、おいて逝かれるよ』

あの時のように、泣いて甘えて欲しい、
逝かないで、

それは、罪を孕んで、蝕んで行く。

彼女の目には、自分はどれだけの聖人君主のようになっているんだろう、
世の平定よりも、女のことを。

こんなにも自分本位なんだ。

上手くできるかわからないけれど、自分の愛し方で。君一人を守るのにこんなにも難しい。
なんの力も持たない無力な男なんだ。

ー…
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