その瞳で舐めあげて
「ここで決めなきゃ本当にするよ」



私の方へ歩み寄ってくる。

私は後ろへ下がる。

冷んやりとした壁に触れる。




もう近くて鼻が触れそうな距離。

「なればいいんでしょ、専属記者に」

「やっと言ったね」

勢いで言ってしまったこと。

でもこいつの中を暴いてやりたいとも

思った。





離れたと思えば私の左手を握っている。

左手の薬指に伊澤の唇が落ちる。


赤く指輪の跡のように見える。

まるで伊澤に縛られたみたいで熱い。





「これから宜しくね、丹音。

ちなみに3年の契約が切れても

離すつもりなんてないから」


私は道を誤っていないだろうか。


わからない、私がどうなるかなんて。





これからどんな道を歩むかなんて。

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