その瞳で舐めあげて
肩を引かれて後ろから

抱き締められるような姿勢になり、

口を手で塞がれる。



「…んぐっ」

しまった、声が。

「あー人はいません、友人の犬を

預かってまして…」

立鍋さんに突かれたらしい。

必死に私が腕を引くと口を塞いでいた

手が前から肩を抱く形に戻る。



「逃がさないって言ったでしょ」

郁箕を睨みつける。

「でも、立鍋さん迎えにくるから

離さなきゃね」

パッと腕が離れる。

「さよならっ」

「また後でねー、また来てねー」




死んでも行くかっつーの。


< 24 / 82 >

この作品をシェア

pagetop