狼と銀の鳥籠姫

ヴァスターベル王国の歴史




ヴァスターベル王国。


列強をひしめく大陸の片隅に存在する、小さな王国だ。


猫種(ケットシー)のメイナード家が治める、

豊かなかつ厳しい大自然囲まれたヴァスターベルは、まさしく陸の孤島。

侵略を阻む大自然という鎧を纏い、大陸の中でも独自の文化を発展させている。




ヴァスターベルには、猫種(ケットシー)。

人間種(ヒューマン)、狼種(ヴォルフ)。


そして希少とされる鼠種(ソティラ)、獅子種(レーヴェ)、犬種(ドット)、兎種(ラビッツ)などの亜人種が存在しており、



その中でも、猫種、狼種、そして人間種は建国の種として比較的国の中でも重要な地位についている。


ヴァスターベルが未だ一つの国にまとまりきれていなかった遠い乱世、

この三つの種が力を合わせることでヴァスターベルは平定されたと言われていた。



建国以降、狼種と人間種は、ヴァスターベルの頂点を猫種に譲り、彼らは補佐としての立場にとどまった。


建国から数百年、種族の壁はあるものの、

ヴァスターベルの美しい自然の中、

調和の取れた豊かな国となった。



――そう、十五年前までは。



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