ALONES

「分からないけれど…少しいざこざがあったみたいでさ。なんだか、僕の弟が関与してるって…さっきの、レイチェルが教えてくれた。」


そう。と彼女は呟いた。
そして嫌ね、とも。


「…戦争は醜いわ。この世で一番嫌な争いよ。」


轟音に、炎、沢山の悲鳴。

海は沢山の死体で溢れ返る。


「あなたの弟が一体何を考えているのか分からないけれど、きっとその戦争は無益だわ。稀に有益な戦争もあるそうだけど。」



「はたしてこの戦争はどちらなのかしらね。」



ぴしゃりと言い放ち、口の中に残りの魚を骨ごと放り込んで、むしゃむしゃと口を動かすキーラ。

いい味ね、と声を上げるものの…その眉間には皺が寄ったままで。

そんな彼女は、骨ごと咀嚼した魚の身をゴクリと喉の奥に流し込むと、
ごちそうさまと言って僕のベッドの上に寝転ぶ。

まるで自分の家のように。


「…もう。」


思わずため息がこぼれてしまうけれど、不思議と嫌な気はしなくて。


食器ぐらい持って来てよ、なんて呟きながら…
雨水を溜めたタライの中で渋々食器を洗い始めた。


途中で腕力と握力がもたなくなってきて休憩していると、寝転がっていたキーラが助けに来てくれる。

のはありがたいけれど。


「最初からしてくれると嬉しかったなー。」


「嫌よ、面倒くさいんだもん。」
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