Black Beast.



私が無意識に玲央くんの手を
強く握るたびに、玲央くんは
同じくらい強く握り返してくれた。



足元に視線を落としたまま
黙り込んだ大勇くんの頭を
乱暴に撫でながら振り返った男の人と
バチッと目が合った。



「 あれ?なに?彼女? 」


「 ・・・うるせぇ 」


「 相変わらず冷てぇな・・・。
  で、君は? 」



横目で玲央くんをジロリと睨んだ
その人は再度私を見て首を傾げた。



「 き、北城柚菜です 」


「 ほ~!!柚菜ちゃん!
  俺は拓未の兄貴で、
  細川紫緒(ホソカワ シオ)。
  よろしくね~ 」


「 よろしくおねがいします・・ 」



パッと見は金髪な紫緒さんは
サイドに黒髪のメッシュが入っていた。



大勇くんのお兄さんと言われた方が
納得できるくらい、テンションが
大勇くん並に高かった。



「 玲央! 」



薄暗い病院の廊下を息を切らして
走ってきた希くんが玲央くんを呼んで、
顔を上げると治療室から出てきた
拓未くんが運ばれてきたのが目に入った。



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