棄てられた女、狂女と化す
やつもさすがにパニック、か。

「どうして…」

泣くような声がした。

ざまあみろ。

わたしは、にっこり笑う。

笑いながら膝が崩れていく…

バタンっ

身体が倒れた。


「これって、警察に連絡だよな…?」

あいつが恐るおそる訊ねる。

だが、返事はない。

彼女が玄関に来て…

倒れたままの焼きこげた死体を

そっと見つめる。


しばらくして、口を開いた。

「放ってたら。焼けたらゴミなんだし」

「そ、そんな…」

あいつは明らかに戸惑っていた。

「早く、ドアをしめて」

吐き捨てるように言った。
< 36 / 58 >

この作品をシェア

pagetop