はんぶんこ
第一楽章

一編 思い


扉を開いて組長の居る部屋へと入る すると組長は俺にいきなり言った
「三好さんが私たちから離れられましたよ。」
「そうですか」
組長は鼻で笑うとこういった
「今更何を良心に駆られる必要があるのか、私には全く理解しがたいですよ」
「そうですね」
「あのお二方には因縁ができてしまいましたねえ…」
俺は思わず目を見開いてしまった
「どうしましたか?」
「いいえ…」
「ならもうあなたは下がって構いません」

俺は部屋を出た
因縁…どういうことだ?もしかしたら冗談かもしれないが今の俺には気がかりでならない
昭にも危害は及ぶのだろうか?だとしたら組長に逆らわなくてはいけなくなるのだろうか?
それは出来ないかもしれない…今の俺には例え昭でも組長と天秤にかけられるような人などいないから…


組長と出会ったのもこんなよくある曇りの日だったっけ?
< 19 / 23 >

この作品をシェア

pagetop