引越し祝い
「困ったね……。引っ越し初日で悪いけど今夜、彼、泊めてくれる?」

「いいよ」

ホッとした。それじゃあ、と端に寄せておいたコートを手に取ると、

「紅ちゃんも泊まるならね」

「え?」

驚いて振り返った。
さすがに彼氏でない人の部屋に泊まるのは、抵抗がある。

「紅って呼んでいい?」

「いいわけないじゃない」

「今だけ」

そう言って唇を寄せてくる。
私はとっさに彼氏を見た。

「大丈夫、寝てる」

耳元で囁く彼氏の友人に、私はなにも言えなかった。

軽く、唇が触れる。

私、酔ってる。そして健も。

「気持ちいい?」

「……うん」

素直に答えたのは、本当は彼氏よりも健の方が、ずっと好きだったから。

―おわり―
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