時計の針の行方
真実
………内海は夢の世界にいた。
鼻をつくような、ツンとくるシンナーの匂い。
ところどころ、壁がかけている3階建ての古臭いビル。

ここは…どこだ…

ジメジメとした外の空気。空模様は完全に曇っていた。
今でも雨が降ってもおかしくないような、太陽が全く姿を見せていなかった。

暑い… 喉がカラカラだ。熱気が身体にまとわりつくような感じだ。 とにかく、とにかく、ここから出たい。

もはや、体力的に限界であった。
内海は、ビルの中を摸索するが、一向に出口が見当たらない。

もう…このまま出れないのかな…

内海は、ビルの中を摸索するが、一向に出口が見当たらない。

もう…このまま出れないのかな…

内海が諦めかけたその瞬間、意外な人物から助けの手がさしのべられた。
罵声と共に。

「内海!!いい加減起きろ!授業は終わったんだ!ホームルームを始めるからさっさと起きんか!!!」
内海は凄まじい声を身体に受け止めながら、ゆっくりと身体を起こした。

「あれ、授業終わったんですか?」
眠い目を擦りながら担任の細川に訊く。

「当たりまえだろ!号令かけるからさっさと立たんか!」
気付けば、周りに座ってる人は誰もいなかった。
内海は、机の横に置いてあった鞄を掴むと、重い腰をあげた。

「気をつけー礼」
内海が立ちあがったことを確認すると、日直はすぐに号令をかけた。

あーあ、これからどうすっかな…
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