虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


「あぁ・・・あれか」


藤堂さんは平然と言ってのけた。



――――何の感情も宿していない顔で。



「すみません。顔洗ってきます」



そんな藤堂さんから逃げるように、わたしは吉田楼に戻った。



中の井戸で、血の付いた顔を洗う。


手ぬぐいで顔を拭くと、真っ赤な血が付いていた。


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