虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


でも、傷を負ったわけではないということが分かったのか、ほっとした顔へと変わった。



「そうだ、ここは俺に任せて、庭のほうへ行って来てくれ!」



庭で、まだ誰かが戦っているのだろう。


俺は、急いで庭へと走った。


そこで俺が見たものは――――


地面に座り込んでいる、藤堂さんの姿だった。


怪我でもしたのかと思い、駆け寄る。


でも・・・怪我をしていたのは藤堂さんではなかった。



「睦月っ! 睦月!!」



必死に叫んでいる、藤堂さんの悲痛な声。


真っ赤に染まった睦月の体。


< 427 / 858 >

この作品をシェア

pagetop