虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


明里さんは、どことなくお梅さんに似ている所があった。


好きな人の為なら――――命さえ差し出してしまうような所が。


もう、あんな悲しい別れ方をさせたくない・・・


だから、山南さんの人生をあんな形で終わらせたくないのだ。


自ら命を絶つ、切腹という形では・・・



「山南さん、睦月です」


「ああ、睦月さんですか。 どうぞ」


「失礼します」



食事と一緒に、薬の乗った盆を襖の傍に置く。


山南さんは、昨日見たときよりもさらにやつれている気がした。


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