虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


笑いながら、頬を伝う涙。


明里さんは、それを拭おうともせず、ただ空を見上げ続けていた。


ただ、流れる涙が悲しみを流してくれるのを待っているようだった。



「ごめんな、うち、丹波の方に帰ることになって・・・


たぶん、もう会うことも無いと思う」



涙が止まった頃、明里さんは笑いながら言った。


胸元で、山南さんからの最後の贈り物を抱きしめて。


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