彼の代わり【TABOO】

あの日もこんな感じだった。

届きそうで届かない本に背伸びして、腕を伸ばして・・・


 「呼んでくれたらいいのに。」

背後から湊さんの声が聞こえて、本に湊さんの手が伸びたかと思ったらその手は
私の手を握りしめていた。

 「俺がアイツの代わりになるよ」

そう言うと湊さんは本棚と本棚で仕切られた死角に私を連れていくと唇を重ねてきた。

 
湊さんは知っている。
私と彼がこの死角で何をしていたのかを・・・

湊さんは彼の代わりになると言いながら彼と同じように私に密着し唇を重ねてくる。

一番落ち着ける場所がドキドキとスリリングに満ちた空間へと変わる。


彼がいるのに図書館で・・・
彼の先輩と・・・

大好きな本の匂いに囲まれながら唇を重ねる。

あの日からずっと・・・





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