ハンドパワー
彼は突然私と親密になろうとする。
「え?
もう十分に打ち解けてるよ」
「まだまだだよ
中学二年生にしては、暗すぎるよ」
彼は私と標準の情緒を持つ人と比べた。
それがなんだか満足にいかなかった。
「私は… 笑っちゃいけないの!」
「何で?」
「ずっと前から言い聞かせてきたから。
自分でもなんで笑ってはいけないか、わからない」
「じゃあ笑ってよ。
俺の前だけでもいいからさ」
この人って、案外優しいんだね。