ハンドパワー
―あと数歩で川に浸かるときだった。
「温秘ちゃん!」
これから何をするかわかって、それを止めるかのようなタイミングで誰かに止められた。
「久しぶりだね。 そんなところでなにしてるの?」
そこには新くんがいた。
こんなところ、誰にも見られたくなかったのに。
どうしてあなたがいるのですか…
「溺死だよ」
私は包み隠さずはっきり言った。
「何でそんなことするんだよ!!
命を捨てるなんて、人間として、生き物として最悪なことだよ!」
「そうだよ!私は最低な生き物なんだよ!
だからもう何言われたって、何されたって、平気なんだよ!」