秘め事【タブー】
 惜しげもなく裸体を晒しているエロ雑誌よりも、こっそりとエロを散りばめてある文学小説を読む方が、よほど官能的な気分になれる。
 このご時世、そんな人間は私だけだと思っていた。


 ほんの少し前までは。

 

 今日も図書館で、静かに本を読んでいる名も知らぬ男子をこっそり盗み見る。あ、今日はそれ読んでるんだ――。露骨なエロシーンなんてないけれど、相応の想像力を持って文字を読み込めば濡れてくるような文章が散りばめてある文学小説。
 小説よりもギターの方がずっと似合いそうな彼と、今日もはっきりと視線が絡んだ。

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