‐HERO‐
周りの視線など気にせず、私はうずくまった。目にはうっすらと涙さえ浮かぶ。
『うわーん、どうしよう………担任が原田……。』
「あー…ドンマイ…。里菜、原田先生きらいだもんね……。」
一緒にしゃがんで背中を慰めてくれるのは、親友の春井琴音(はるかわことね)。
そして、私の名前は鈴川雪月(すずかわゆづき)。
原田先生大っ嫌いな高校2年生です☆
「まぁ、なっちゃったもんは仕方ないさ」
『…………そういう琴音は担任誰なの?』
琴音はニヤッと笑うと…
「……………山本先生。」
『え"ー!?ズルい!山本先生優しいじゃん!』
「いやぁ、今年は運がいいなぁ~」
『交換してよっ!原田とか嫌っ!大っ嫌い!担任とか最悪!!』
「…………悪かったな、俺が担任で。」
『「え」』
恐る恐る後ろを振り向くと、そこには原田先生がいた。
「鈴川、てめぇ………新学期早々職員室に呼び出しされてぇのか……!?」
『ひっ…………そそそんな!滅相もないですっ……!あっ、そうだ!
琴音、お腹痛いんだよね!?』
「いやっ、別に痛くないけど…」
『な"…………と、とにかく!早く帰らなきゃ!じゃ、先生。さよなら~』
私は琴音の腕を掴むと、無理矢理走り出した。
「おい!!待て!!」