逃げた花嫁 21世紀編

距離

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『パタン』


「ふぅ…ありえないけど…やっぱり本当みたい。」

徳川家康 秀忠 そして家光に関する本を読んだ。


我が家の家族構成や名前とほぼ同じだ。


「無理…。」


漫画かドラマのような話しを現実として受けとめる自信がない。


8年前のあれは桃の節句ではなく私と竹君さんの婚礼だったんだ。

歴史上の私は京都の摂関家の娘、鷹司孝子。幼い時に将軍家の後継ぎ竹千代君と結婚。


21世紀の私は京都の公家も徳川家とも無縁に生きてきた平松華で独身。


頭も気持ちも整理出来ない。


辛いけど…私に竹君さんの妻は無理…。


「スイスに帰ろかな……」


私がスイスに戻っても歴史に歪みは生じないはず。


だって……。


家光と孝子は結婚当初から不仲で子供ももちろんいない。


家光の子供は全て複数の側室が産んでる。


側室………。


「{うぅぅうぅ………}。クスン…傷が深くなる前に…今なら立ち直れる…スイスに帰ろう。」


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