《俺様的》彼女の手なずけ方
てっきり言い返してくるかと思ったけど、ナルは何も言わない。



チラッとナルを見ると、窓の外を黙って眺めていた。



その横顔はなんだか寂しそうな顔をしていて、思わず声をかけそうになってしまう。



ううん、あたしここで堪えなきゃ。



どうせ、あと数日しか一緒にいられない。



あたしはもう、ナルとは離れるんだから。








「……ツラいな」



ナルがボソッと呟いた。



「嫌われてるのに、どうしてこんなに好きなんだろうな……想いが届かないって、こんなに苦しいものなんだな……」



ギュッと拳を握りしめ、ハァとため息をついている。



な……によ、そんな言い方をしたって、あたしは……。



「あと少し、ほんの少しだけ…俺にいい思い出をくれよ。好きでもない相手と結婚させられて、この先ずっと親の言いなりになって生きていく俺をかわいそうだって思うだろ?」



ナルが切なそうな目であたしを見る。



そんな目で見ないで……。


< 460 / 711 >

この作品をシェア

pagetop