お嬢様になりました。
着替えを済ませ、携帯を手に応接室に向かった。


華、空いてるといいな。


メールは送ったけど、まだ返事は返ってきてない。


応接室のドアをノックして開けると、信じられない人物が椅子に座っていて固まってしまった。



「おはよう」

「お、おはよう、お祖父ちゃん……」

「どうしたんじゃ? そんな所に突っ立っておらんで、こっちにきて座りなさい」

「あ、うん」



お祖父ちゃんの隣に座ろうとしたら、お祖父ちゃんに反対側に座る様に促され、私は渋々お祖父ちゃんの斜め前に腰掛けた。



「俺には挨拶なしかよ」

「お互い様でしょ。 何であんたがここにいんのよ」



何で土曜日の朝っぱらから海堂の顔なんて見なきゃいけないわけ!?


マジ最悪!!


それに昨日あんな事しておきながら、よくもまぁ平然と人の家に来れるよね。


信じられない。



「宝生院会長に挨拶に伺うって話ししてただろ。 ついこの間の事なのにもう忘れたのか?」



もしかして……っ!?


バッと海堂の顔を見ると、海堂は真剣な顔のままお祖父ちゃんの方に向き直った。



「宝生院会長、先程もお話させて頂きましたが、葵さんと婚約を結ばせて下さい」



やっぱりその話し……。


確かに一度了承した事ではあるけど、こんな状態で上手くお祖父ちゃんを誤魔化せる気がしない。





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